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「自分に自信がないんです」自己PRができない学生の就活振り返り

早稲田大学文学部英文学科

19卒 女性

大手キャラクターメーカー就職予定

File:05 のりさん

 

 

人気業界の出版・映画配給を志望したのりさん。頑張り屋さんの彼女ですが、唯一の弱点は【自己PRが苦手なこと】。謙虚で嘘がつけない性格だから、就活はすごく難航したそうです。

インタビューの場で自信なさ気に自分のことを話すのりさんをみて、私までこの就活制度を恨めしく思いました。大手キャラクター会社の内定を獲ったのは、彼女の真のよさをみてくれる選考だったからかもしれません。インタビュー最後の就活振り返りは、本当に的を得ているので是非みなさんに読んでもらいたいです。

 

 

——のりさんの大学生活を教えてください。

サークルしかやっていませんでした。軽い気持ちで英語サークルに入ったんですが、ハマるとズブズブいっちゃうタイプだから毎日サークルでした。活動はスピーチ・ディベート・演劇の3つですが、私は下級生が活動をするための包括的な計画をする部門にいました。

3年になる時に副幹事長選挙に出たら相手の子に1票差で負けちゃって。だから、3年は合宿統括みたいな役職をやっていました。

 

——大学でも有名な、大きいサークルですよね!就活でもそのエピソードを言っていたんですか。

はい、サークルしかやってなかったこともあり【サークルで40人程の下級生の運営をまとめた】というエピソードばかり話していました。

サークル以外のエピソードを聞かれたときは、おにぎり屋さんでのバイトのことをすごくカッコよく言ってごまかしていました(笑)

 

——英語サークルなら英語力がアピールできそうですが

就活で英語力を強調したことはないんです。

サークルの話をすると、よく「じゃあ英語できるの?」って聞かれましたが、「私は英語の活動自体にはそんなに興味がなくて、運営に力を入れていた側なので、英語が話せるわけではないんです。」って正直に言っていました。

 

——……もしかして、自分をアピールするのが苦手ですか?今話したところ、全体的に謙虚さを感じます。

はい。自分に自信がないからアピールが苦手です(笑)

その上、過去エピソードを論理的に話せなくて。周りの人みたいに「その場で自分のすごいところを筋立てて話し、企業との適性をアピールする」なんてことはできませんでした。

 

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***

 

——ズバリ、就職活動はどうでしたか

辛かったです。

出版志望だったから、「行けるかも!」みたいに希望が持てる瞬間もなくて、不安でいっぱいでした。

 

——出版の就職活動って難しいんですか

採用が10人程度の枠に対して、全国から希望者が集まるので、倍率が高いんです。就活をしながら、本当に狭き門だなあって感じました。

 

——でも、のりさんが行くことになる大手キャラクターメーカー(以下、X社)は超有名の人気企業ですよね。

そこ以外、全然受からなかったんです。

最終的に内定を頂けたのが、X社と中小出版社の2つだけでした。そこは、社長などが執筆する企業ブランディング本が主な出版物で、自分の好きなものとは違ったのでX社に決めました。

 

——なんでのりさんは出版を第一志望にしたんですか。

もともと漠然とした憧れで、出版、映画配給、放送系に興味がありました。趣味が映画、テレビ、演劇、アイドルなので。

先輩からはいろんな業界見ろって言われて他業界の説明会にも行ったんですけど、かえって自分は好きなことしか頑張れないってことがわかったので、志望業界は変わりませんでした。

 

——全部で、何社くらいエントリーされましたか

全部で40社くらいです。志望業界で内定を貰えなかったら……と思うと不安になって、「絶対行かないだろうな」って会社もエントリーしていました。

 

——詳しい就活スケジュールを教えてください。

大学3年の夏にサークルの同期がインターンに応募しているのを知って、就活を意識し始めました。私も東宝など有名どころのインターンを数社応募しましたが、全然対策も練ってなかったので落選しました。「どこも受からなかったらいいや〜〜」って、夏の間は何もしませんでした。

 

インターンは、1社だけ、損保会社に参加しました。サークルでサポート系の役職だったから、志望動機との親和性もあったんですかね。

 

12月くらいから本格的な就活を始めました。最初のころは、選考が早いテレビ局受けたり、OB訪問をしていました。

 

——OB訪問はどれくらいしたんですか。

サークルの先輩に映画配給会社に行った人がいたので、その人に連絡を取って数珠繋ぎ的に紹介してもらっていました。

また、父親の知り合いに出版エージェントの仕事をしている人がいたから、その人にも紹介してもらいました。

全部で10人くらいお話を聞いたかな。

 

——OB訪問をやってよかったですか。

会社についていろいろ教えてもらえたし、ESも見てもらえたので、オススメです。

 

——では、ES通過率は高かったですか。

ESって、添削されたら通過すると思うじゃないですか。全然そんなことないんですよ(笑)

すごく行きたい映画配給会社があったので、OB訪問やキャリアセンターで見てもらったんですが、ES落ちしました。

こんなに大人に見てもらったのに落ちるんだ……って思いましたね。

さすがに落ち込みましたが、「就活の不条理を学んだのだ」って思うことにしました。

 

#メモ キャリアセンターは就活期間中にESを持っていくと添削してくれます!

 

ES通過率は全体で50%くらいでした。

エンタメ系は手書きESが多いんですけど、サークルで色紙を作る機会が多かったから、色鉛筆で描く作業自体は楽しかったです。

 

——どの選考フローで落ちることが多いですか。

2次面接かなぁ。

 

1次面接は元気と笑顔とちょっとの業界知識で乗り切ってました。

グループディスカッションも、そんなに対策しなくても、にこやかにして話を聞いて、要所要所で意見を言えば落ちませんでした。

 

ただ、2次面接になると、面接官も役職クラスになって威圧感がでるし、聞かれる内容も深くなるし、すごく緊張しました。

 

——面接が苦手なんですね。

本当に嫌でした。その場で聞かれたことに順序立てて答えるのが苦手で。

それに、人と練習するのが恥ずかしくて一人で練習をしていたので、結局客観的に自分の面接がどう受け取られるのがわからなかったです。

 

対策もVokersとかリクナビマイナビとかのサイトを見るだけでした。気休め程度ですね……

 

——なんでX社をエントリーしようと思ったんですか

もともと出版配給は狭き門で不安だったので、3月から事務所・音楽レーベル・おもちゃ・印刷など出版・配給以外にも幅を広げてみたんです。

リクナビマイナビって「この会社を受けた人はこういうのも受けています」って関連企業が出てくるじゃないですか。そうして出てきたX社は、早稲田出身者も多そうだし、社員インタビューを見て楽しそうだったのでエントリーしてみました。

 

とは言っても、本当ギリギリにES提出したんですよ。郵送受付だったので、その会社の最寄りの郵便局まで駆け込んで送付しました。

 

#メモ 郵便受付で「必着」の場合、会社の最寄りの郵便局で郵送するとギリギリでも間に合うかも!

 

——その後の選考は?

ぽんぽんって進みました。筆記は、出版の対策をしていたので問題なかったです。

面接も、社員さんが全員優しくて、目を見て「うんうん、それで?」と和やかに話をしてくれる雰囲気だったから緊張せずに話すことができました。

 

——本当に合っている会社を見つけられたんですね。

それが、一回「絶対落ちた」って思ったタイミングがあったんですよ。

二次面接の終わりに「今日の面接の自己採点してください」って聞かれたんです。周りが「70点です」「80点です」って自分をアピールしている中で「20点」って正直に言ったら、ネガティブキャンペーンっぽくなっちゃったんです。絶対落ちたなって思ったんですが、なぜか通過しました。

 

——それでも受かったってことは、本当の自分を出しても受け入れてもらえたみたいで嬉しいですね!!

そうですね、内定をもらった時は嬉しかったし安心しました。

でも、出版社が本当に諦めきれなくて、7月中旬まで就職活動をしていました。

実は、小学館に最終落ちしたんですよ。なまじ三大出版の一つに最終まで行けたから諦めきれなくて、X社の内定を頂いた後も、7月下旬まで出版系の就活を続けていました。

 

「いつもいいところまで行くのに最終で落ちるのはなんで!?」って思って、就浪しようかも悩みました。実は私、大学受験で一浪してるんですよ。周りより2年遅れるほどの覚悟はないし、仕送りの問題とかもあるので、決断できなかったです。大学受験とは違って、浪人すればいいってことでもないですし。

 

——思い出深い選考ってありますか。

とある出版社の最終面接で、おじさん達にいじめられたんです。

「ミーハー心で受けたんでしょ」「どうせ有名人に会いたいんでしょ」とかいう言葉をたくさん浴びせられて、泣きそうでした。「馬鹿にされたなあ。ここはもう受かっても行きたくない!」って思いました。結局落ちましたが(笑)

風俗の記事もある一般大衆紙を出してる会社だったので、入社後に耐えれるのかを見られていたのかもしれないですけど、その前の面接まではいい人だったのでショックでした…。最終で現実を突きつけられましたね。

 

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***

 

——就活を通して学んだことは何ですか。

「現実は甘くない」です。世の中、頑張れば必ず報われるわけじゃない。でも、終わってみたときに自分の後悔がなくなるから努力をするんだろうなって思いました。

 

——のりさんも、凄く努力されてきましたもんね。

そんなことないですよ。サークルに就活ガチ勢が多かったんです。

文学部と違って、商学部の人とかは「ゼミの先輩からwebテ回答集もらった!」「面接対策やってもらってます!」みたいな話で盛り上がっていたので、それに比べれば全然です。最後まで自信を持てませんでした。

 

——周りの人で就活がうまくいってるタイプってどういう人だと思いますか?

何をどう対策すればいいとか、この質問の意図は何かとかが要領よくわかる人は強いです。

あとは、人に頼ったり、適度な息抜きができたりすることは大切だなあと思いました。

 

——就活終わってみて、学生時代やっとけばよかったって後悔してることは何ですか

好きなこと・興味あるものへの関わり方を学んだり考えたりすることですね。

明確に興味ある業界があったのに、作り手よりもプロ消費者になる道を歩んでいたなと後悔しました。サークルは出版と全然関係なかったので、個人的にZINEを作るとか、アウトプットにもっと挑戦してみればよかったです。

 

——なるほど。就活お疲れ様でした

今となっては、「なんで私はあんなに落ち込んだり泣いたりしてたんだろう」って思いますけど、就活中はただ精一杯だったんですよね。

思い出しても、なんで落ちたのか、なんで受かったのか、就活はわからないことばかりです(笑)