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ベンチャー?大手? 好きを仕事にする?しない?

 

 

文学部4年・仏文コース(19卒)

女性 映画配給会社

file03:みぞれさん

 

 

2年の夏からベンチャー企業の中長期インターンをいくつか受けていたみぞれさん。春からは大手の映画配給会社に就職することが決まっています。インターン先のベンチャー企業にそのまま就職できる状況の中で、大手を受けた経緯についてお伺いしました。

 

 

——みぞれさんは文学部ですよね。なにか、文学部に入った理由などあれば教えてください。

私立文系の中では数学ができる方だったので、経営やマーケティングに興味があり数学受験で商学部や経済学部を受けていたんです。ついでに数学併用方式で早稲田大学の文学部、文化構想学部を受けました。でも、本命は落ちてしまったので文学部か文構ってことになって。

実家が良くも悪くも保守的で「文構って夜間じゃないの?」って空気があり文学部に進むことにしました。

 

ーーフランス文学コースに進んだという選択にも実家が保守的であるということは関わってきましたか?

そうですね。本当は社会学コースや心理学コースで勉強をしたかったんですけど「仏文がお嬢様っぽくて似合っている」と親や姉から猛プッシュされて屈しました(笑)

でも、それだけじゃないんです。1年の語学のクラスの雰囲気が苦手で、その中でも器用でキラキラした子が、社会学とか心理に進みがちだったんです。早稲田の文学部では就職に有利な学部と言われていて、そういう雰囲気が苦手で仏文の説明会に行きました。

 

仏文の説明会はお菓子が出て和気藹々としているんです。その中に素敵な先輩がいて、すごく憧れて仏文に決めました。その方はワインが好きで、在学中に趣味でソムリエ資格を取って、それを活かしてワインの商社に就職されたらしいんです。

 

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ーー素敵ですね。好きを仕事に、ですね。

ちなみに、サークル活動なんかは、なにをされていましたか?

そもそも、新歓の時期に体調が良くなかったのと、新歓の騒々しさがあまり得意ではなくて、サークル探しがちゃんとできませんでした。

最初は茶道サークルに入ったのですが、あまり行かなくなりました。友達に誘われて1年の後期から出版サークルも入ったんですが、それも途中でやめました。

 

ーーいつ頃から就職活動をしていたか教えてください。

2年の夏にワークスアプリケーションズインターンを受けたのが最初です。1年生のときに就活を終えたばかりの先輩にお勧めされたんです。16万円もらえて、プログラミングも勉強できるからいいよって。だから受けました。選考には通ったんですけど、採用人数が多すぎたということで抽選でお祈りされました。

 

ーーかなり早くから動かれていたんですね。

そうですね。私はこれを【インターンビジネス】って呼んでて(笑)、お金をたくさんもらえるインターンをやっていました。就職とかは考えてなくて、とりあえずバイトとしてお金を稼ぎたかったんです。

 

ーーインターンビジネス!

はい(笑) 大学2年生の後期に交換留学制度で同志社に行ったんですけど、関西で友達を作ろうと思ってリクルートインターンを受けたんです。そこも日給1万円×5日間の好待遇でした。

受かったので参加したんですけど「ロジカルシンキングって何?みんなすごいなぁ〜〜。はわわ〜〜」って感じでしたね。当初の目的だった友達作りはうまくできて、今でも仲良しです。

そのあと、大学2年生の3月にワークスアプリケーションズから「前回は人数の問題でインターンしていただけなかったのでお越しください」って呼ばれて、そこにも行きました。

 

ーーそんなに内容には興味なかったですか?

インターン生は理系でコードをかける人が多くて、わたしはプログラミング初心者だったので、そのギャップが辛かったです。でも、そのかわり社員の方とたくさんコミュニケーション取っていたら、全然予想外だったんですけど、卒業後2年間入社できる内定パスをもらえて、とても嬉しかったです。成功体験になりました。

 

ーー順風満帆な滑り出しだったんですね。

うーん、はい(笑) そのあと大学3年の夏あたりから周りがガチになっていくのに反比例して就活に対するモチベーションは落ちていきました。夏に「受かるっしょ(笑)」と思って受けた大手広告のインターンの面接が、落ちてしまって。暗い気持ちに拍車がかかって、何もやりたくなくなったので、映画ばかり見ていました。1日に2〜3本観ていました。

 

ーーすごい!たくさんみてますね。就職先にもつながるような……。映画系のインターンは受けなかったんですか?

文学部に入ったときに「エンタメ系とかメディア系の会社に入るかな」とはなんとなく思っていたんですが、倍率が高いのは知っていたし、本当に好きな会社に落ちるのが怖かったので、ITベンチャーインターンしか行っていないですね。

最初にITベンチャーを受けて受かったので、成功体験があって、そのまま同じジャンルを受けました。

なので、3年の秋にメルカリが「海外に行けて、12万もらえる」インターンの募集をしてたとき、夏にどこにも行かなかったし応募してみました。アメリカに行けて、楽しかったです。 同時期にITベンチャー(以下、M社)で中長期インターンを始めることになりました。

 

ーーなるほど、では本格的に就職活動が始まってからはどこらへんを受けていたんですか?

12月くらいから、慌ててテレビのESをバーって出しました。でも、今まで対策を全然やっていなかったのでボロボロで、ES落ちと筆記落ちでしたね……。

すごく落ち込みました。M社で中長期インターンをしていたので、そのまま就職しようかなと思い始めました。

 

ーーでも、就活を続けたんですね。

気持ちは結構揺れてました。M社の社員の方に話を聞いたら、「もっと考えたほうがいいよ」って言われるんです。わたし的には、ここで「良いじゃん!うち入りなよ!」って言ってもらって「入ります!」って就活を辞めたかったんですけどね(笑)

 

確かに、急成長中のベンチャーは、みんな慌ただしくて、教育体制が整っていなくて不安だなって思っていました。同期になる人はコードを書ける理系か、英語ペラペラでインターン経験豊富な文系が多くて、教育制度がなくても会社でやっていける人たちだったんです。でも、わたしはスピード感もなくて、英語もできなかったので、その点も不安でした。

 

それで、3月1日は大学の合同会社説明会に行きました。大学側からは1コマ目から最後のコマまで会社説明会を巡ることが推奨されていたんです。でも、体力的に難しさを感じました。それに、大講堂で行われる説明会にたくさんの人が集まっているのをみて、この中から十数人かしか取られないんだ……と思ったら気持ちが萎えました。

 

ーー不安になりますよね。最終的にベンチャーではない方針に進んだのは何故なんですか?

ベンチャーのすごい人って大手でも活躍できる人なんだ、って気づいたことですね。ベンチャー的なワンマンの人の近くで働けるのは良いことだと思うんですけど、自分がそうなれるかというと違うと思いましたし、実際「違うよ」って言われました。大手から逃げて、ベンチャーに入るんじゃなくて、大手に入ってバリバリやっていたら、自然とベンチャーからヘッドハンティングされるような人物になることが自分の理想だったんだと、改めて考えたらわかりました。

 

働き方の問題もあります。ベンチャーって5年スパンで業界内を転職して転々とするのがメジャーなんですね。わたしはそのスタイルも合わないなと思っていました。

あとは、単純に私が文学部に染まりすぎてしまったという問題があります。一緒に働いている人は、明るくて、合理主義者で、先進的な人が多くてちょっと肩身が狭かったです……。「難しい本読んでるね(笑)」みたいないじられ方をすることもあるし、共通言語が使えないなってストレスもありました。自分は良くも悪くも保守的で、それは育ちの問題だから治らないと思うので、そういうことを評価してくれるところに就職したいと思いました。

 

ーーそれで、大手なども受けたんですね。

そうですね。20社しか受けないって決めて、そのうち3社は徹底的にリサーチして受けようと思ってました。3社、説明会やOB訪問などをし尽くした結果、内情を知れば知るほど受けたくなくなって大変でした(笑)

働いている人があまりにも自分とかけ離れているなと思ったり、「あなたが思っているより自由のない会社ですよ」とOB訪問で言われたり。

 

ほんとは、どんな会社でも行くつもりだったんです。でも、過去を振り返ってみたら、学科やサークルなど、全部嫌だったら投げ出して、自分の好きなことを伸ばす生き方をしていたんです。だからもESで書くエピソードも、辛いことを耐え抜いた経験とかがなくて。面接とかでその部分がバレちゃって、あんまり興味がない企業からはすぐにお祈りされました。

それに、週5でスーツを着て自分を隠して就活してみたところ、スーツは堅苦しくて嫌いだし、興味がない会社のESは全然筆が進まなくてストレスが多かったし、週5で働くって興味がない業界だとできないって分かりました。

 

ーーそうですよね。最終的に内定先となった会社はなぜ受けようと思ったんですか?

映画が好きだったので、周りの人から「映画の会社受けないの?」と常に言われていたのと、大学の合同会社説明会で、友達の付き添いでその会社の説明会に行ったのがきっかけですね。

 

その説明会で人事の方が「うちの業務は全然華やかじゃなくて、地味だし大変なんです」ってお話をされてて、猛烈に感動したんです。ちょうど「うちの会社楽しいよ!!ハッピーです!」みたいな説明会を直近に受けて疲弊していたので、正直な感じに好感を抱きました。

あとは、説明会に登壇した内定者の中に、知っている先輩がいたんです。人形メディアゼミっていう結構トリッキーなゼミにいた人で、あの人が行っているなら私にも合うんじゃないか!という思いもありました。

 

スルスルと選考が通り、映画業界に就職するって決まってからは本当に道が拓けたように感じています。自分の人生に映画っていう軸が通りました。映画観ていても、仕事のためだって言えるのが本当に嬉しいです(笑)

 

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 (内定者課題のために読んでいる本。「映画のためならいくらでも勉強できるし、楽しいです」)

 

ーーこれだけは絶対に言いたい!ってことはありますか?

ベンチャーを受けるのがすごい、みたいな風潮あるじゃないですか。やりたいことが明確で、裁量権があって、最先端というイメージで語られていますよね。でも、それを鵜呑みにすることはないと思います。

ベンチャーか大手かで相談するとき、相談相手が新卒一年未満の人は「ベンチャーがいいよ」っていう人が多いんですけど、大手とベンチャーの両方を経験している人にベンチャーってどう思いますかって聞いたほうがいいです。

 

わたしとしては、ベンチャーは新卒一括採用が苦手だって人とか、あと偉い人に好かれると決まることがあるので世渡り上手な人とかに向いていると思います。

就職活動って、合う会社は信じられないくらいスルスルと選考が進むんです。なので、無理して「ベンチャーがいい」とか「就活偏差値が高い方がいい」とか言わないで、みんながそれぞれ自分にあった企業に巡り会えればいいなってと思います。